2010年7月22日木曜日

二宮先生語録1 現代語訳

二宮先生語録
1.この世は最初、混沌であったが、そこから清と濁とが分かれ、自ずから開け天地となった。
月日が流れ、陰と陽とが循環し、寒と暑とが往来して、風や雲や雨や露や雪や霜ができたが、まだ生物が生まれないまま何万年も経った。
これが神世というものであろう。
春と夏に雨が降り、初めて苔が生まれ、秋と冬に雪が降れば枯れ滅んだ。
年々生と滅とが繰り返し、それが土を肥え潤して、草木が生まれた。
そこから虫魚が生まれた。そこから禽獣が生まれた。そこから人類が生まれた。
それかたまた何万年か経った。
小さいものが先に生まれ、その後大きいものが生まれたのであろう。
なぜなら苔が生まれて初めて草が生まれ、草が生まれて初めて竹木が生まれ、
ミミズが生まれて初めてカエルが生まれ、カエルが生まれて初めてヘビが生まれ、
春魚が生まれて初めてイワシが生まれ、イワシが生まれて初めてクジラが生まれ、
雀が生まれて初めてハヤブサ生が生まれ、ハヤブサが生まれて初めてカモメが生まれ、
カモメが生まれて初めてワシが生まれ、
鼠が生まれて初めて猫が生まれ、猫が生まれて初めてヤマイヌが生まれたという事だからである。
このようにして草木、虫魚、禽獣が生まれてから、初めて人類が生まれたのである。
それから人類は草木や虫魚や禽獣を衣食に使い、わずかに飢えと寒さとをしのいだのだが、人道は定まらないまま何万年も経った。
その後聖人が生まれた。
五穀九菜の種をえらんで、湿地を開いて田にし、乾地を開いて畑にし、農業の道を教えた。
そのようにして、五穀が熟し、食物が足りるようになった。
ここにおいて、父子・夫婦・長幼・朋友の道ができて、人道も定まった。
しかし凶暴者がその道をこわし、民に害を与えた。
そこで聖人が衆を率いて、これを懲らしめて農者をまもった。
これにおいて、君臣の道が定まり、五倫の教えが備わったのである。

天地が開け一つの気がその間に満ちたようである。たとえば雨水が水桶に溜まるようなものである。
一つの気が動いて風が生まれ、風が生まれて雲が起き、雲が起きて雨を降らせ、それらが潤すところに苔がまず生まれて万物が順番に生まれるのは、ちょうど水桶にまずボウフラが生まれて、そこから魚が生まれるのと同じである。
一つの気が間に満ちることを神が高天にいるという。
一つの気で万物が生まれるのである。
これを神道という。
これは皇国だけの事ではない。外国もみんなそうである。
だから世界万国も神道で開かれたのである。
周公や、孔子が儒道を称し、釈迦が仏法を説くということはずっと後世のことである。
こうしてみれば、神道は根本で儒・仏は枝葉である。
枝葉に驚いて根本を忘れてはいけない。

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