2010年10月20日水曜日

二宮先生語録18 現代語訳

18.農民が雑草を刈るには、まず鎌を研ぐ。
鎌を研がなければ、雑草は刈ることができない。
砥石は鎌に対して、自ら譲ってその身を削っている。
だから鎌の刃はよく切れるようになり、刈れない草はないのである。
その刈った雑草を米の肥料とするので、秋の収穫は増え、その家は必ず富む。
私の仕法で国を富まし民を安定させるには、必ずまず分度を立てる。
分度が立たなければ、民は安定させることはできない。
国の君主が分度を守るには自ら倹約してその身を節約する。
そこから余財が生まれ、仁がいきわたり、民が安定する。そして荒地が開け田畑が整う。
だから税収は年々増えて、その国が富むのである。

2010年10月14日木曜日

二宮先生語録17 現代語訳

17.城の堀を見ると水が青く、その深さ測りしれない。
この堀が一城を守るのである。しかしその水の源をたどっていけば、細い流れに過ぎない。
その下流もまた同じである。
もしこの堀の水を平地に流してみても、小さい川になるに過ぎない。
要害とするには足らないのである。
堀の水は、細い流れで入り、堀を満たしてまた細い流れで出ていく。
だからいつも満ちて干上がる恐れがないのだ。
私の興国の道も同じである。
君主は国が衰えているときの時の分を守り、分外に生じた財産を分内にいれずに、国を復興させる財源とし、荒地を開き貧民を恵み、衰えた国が復興し税額が元に戻るまで待って、その後に栄えた時と衰えた時の税収の平均に応じて、収入を計算して支出を決め、謹んでその制度を守ったならば、その国は常に富み栄えるであろう。
また衰えるおそれもない。
もし君主が国の衰えた時の分を守ることができず、分外の財産をあわせて分内に入れ、眼前の費用にあて衰えた国が復興し税額が元に戻るまで待つことができなければ、その国ついに衰え滅亡するであろう。
国家が復興したり滅んだり、私の道が成功したり失敗したりするのは、分度を守り税額が元に戻るのを待つことができるか、分度を忘れて税額が元に戻るのを待つことができないかにかかっている。
国の君主はよく堀の水を見て戒めとしなければならない。

2010年10月1日金曜日

二宮先生語録16 現代語訳

16.国の費用を節約するには、収入を計算して支出を節約するのがうまくいく方法である。
今の世は贅沢を競って国の費用が足らなくなっていて、支出を計算して収入を定めている。
そこで重税の取り立てが横行し、民が安定した生活ができなくなっている。
いったん凶作が発生すれば、死亡したり離散したりする。
そして田畑は荒廃し、税は永い間収められなくなる。
古い本に、「四海の人民は困窮している、天の恵みが永遠に続かんことを」とあるのはまさにこのことである。